第56回 全国人権・同和教育研究大会

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期間:2004年11月4日(木)  時 分〜 時 分

場所:神奈川県立総合教育センター善行庁舎

報告者:飯田 優一

T.事前学習会

 全国人権・同和教育研究大会参加にあたり、神奈川県総合教育センター善行庁舎で行われた事前学習会に参加した。
 講師として元全国同和教育研究協議会副委員長である荒木康雄さんの「豊かな人権教育の創造のために〜同和教育
50年の歩みを受け継いで〜」と題した講演を聴いた。
 荒木さんは被差別部落出身で元和泉市立富秋中学校校長をされておられた。現在は大学の開放講座で講義されていて、その講義には企業の人事担当や教育委員会からの参加者もいるとのことであった。
 その講演を以下にまとめた。

(1)同和問題とは
 1965年、国として画期的な初の見解が「同和対策審議会答申」が出された。
  「いわゆる同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保証されている市民的権利と自由を完全に保証されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である。」
(2)同和教育のはじまり

 江戸時代から明治政府へ移り、明治憲法下で近代化が進められたことで、日本国憲法、教育基本法は、同和問題は存在しないことが前提の上に制定された。
 しかし、実際は同和問題が根強く残り、1941年、太平洋戦争開戦のその年に、軍の中で被差別部落出身の人に対する差別があったため同和教育について文部省から通達が出された。(それ以前は「同和教育」を「融和教育」と呼んでいた)
 1951年には「オールロマンス事件」と呼ばれる事件が起こった。それはオールロマンスという雑誌に被差別部落の位置が掲載された事件で、行政責任の追及に至った。
 そして1952年、文部次官通達「同和教育について」−同胞一和の精神−が出された。 その翌年に全国同和教育研究協議会が結成された。

(3)同和教育の実践
@ 長欠・不就学の克服

同和地区出身

地区外

小学校

    7.7%

 0.2%

中学校

   35.0%

 2.7%

 奈良県の小・中学校では、同和地区出身児童・生徒の長欠・不就学率が全国的に高率であった。
 このような状況に対して「胸つき坂をこえて」「靴べらしの同和教育」と呼ばれる取り組みがなされた。この二つの言葉は家庭訪問について表したもので、取り組みの原点として、まず被差別部落にある家庭の事情・状況を知ることが大事であることを示した言葉である。(「胸つき坂」とは、奈良県の同和地区が、胸が地面に着くぐらい急な坂の上や下にあったところからきた言葉である)
 現在、家庭訪問などプライベートに立ち入ることを控える傾向にあるが、子どものために必要なことであり、電話で話を伺うばかりではなく今の教育活動にも必要であると話されていた。
 また、高知県では「今日も机にあの子がいない」という言葉に表された状況があった。
 保護者の教育への無理解、不熱心さがそのような状況を生んでいたとの誤解があったが、会社などに雇用されない状況にあり、経済的な貧しさから、教科書がない、傘がない、そして家の仕事の手伝いをしている、という理由で登校出来ない状況であった。
 そういった状況から教科書無償配布の運動が始まり、全国へとひろがっていった。

A 学力保障の取り組み
  • 「落ちこぼれではなく落ちこぼし」との認識

 ;教師の目線ではなく、自分の力不足を「ごめんね」と謝れる気持ちを大切にしてほしい。

  • 幼・保・小・中・高の連携を深める

 ;時系列の一貫した人権教育・総合的な学習の時間・基本教科の一貫したカリキュラム)

  • 加配教員配置の獲得〔30人学級・複数担任制・(学力)促進学級〕

  • わかる授業の創造(子どもの実態に合わせた自主教材)

 ;みんなが「わかる」ことの出来る授業の努力現在「差別」ととらえられることがある「習熟度別指導」であるが、同和地区出身の子どもに対する大切な指導形態であった。

B 進路指導から進路保障へ
  • 就職差別撤廃運動(履歴書・社用紙の簡素化)

 ;本籍地や保護者の職業を記入する欄があることで同和地区出身の人や在日外国人など被害を被る人がいるため、履歴書などにおけるそのような欄を簡素化する運動。後にJIS規格となる。

(4)部落差別の実態と人権・同和教育の課題
  1. 「寝てる子をおこすな」の考え方

  2. 人権教育と同和教育

  3. すべての学校・幼稚園・保育園・職場社会教育で同和教育の実践を−当たり前の教育

まとめ

 本事前学習会は神奈川県人権・同和教育推進協議会主催であり、挨拶の中で副代表が「1995年からの『国連人権教育の10年』の最終年になる。今後は学校教育を柱としていく指針が示されている」との話があり、学校教育での人権教育の重要性、そして本校の社会的使命を改めて考えさせられた。また神奈川県人権・同和教育推進協議会についての説明があり、協議会が10周年を迎えたことなどの話の中で、「性被害などの事故防止の中で人権が語られることが多いが、そのような狭い話ではなく、積極的にいろいろな場面で語られたい」との話があった。私自身、人権について意識すること・語り合うことがほとんどなかったように思う。今後、家族をはじめ学校内外の人、また交流学習後の相手校生徒との反省会などにおいて様々な形・内容で人権について「語り合い」が出来たらよいと思っている。その語り合いが「意識」につながり、日常の言動につながっていくと思う。

 そして、講演では実体験を交えて、同和教育の歩みについて学んだ。同和教育の歴史の概要を学べよかった。また、同和教育の一つの側面である同和地区の子どもに対する学力保障を、障害児に対する「養護学校義務制」(教育の機会均等)と重ね合わせながら聴いた。人権を尊重すること、一人ひとりの子どもの権利を大切にすることはどの状況・状態にあっても等しいものであり、それを守ることの大切さを改めて感じた。

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Revised: 2015/11/11.